DIYメンテナンスのページ(Ninja ZX-14R編)
Ninja ZX-14R関係のメンテナンス記録です
お約束ですがDIYはあくまで自己責任にて

・切れたLEDテールライトの分解、解析
 LEDの玉切れが起きて車検で指摘されたテールライトを試しに破壊前提で分解してみました。

  材質表示の刻印

 刻印をwebで調べたところ、
 本体はアクリロニトリル・スチレン・アクリレートという材質でABSとよく似た材質、レンズはアクリル樹脂らしい。

 ASAは試してみたところ、アセトン等で良く溶けますのでABSと同じ扱いで接着ができます。

 分解する点で難関となるのが・・・

  レンズと溶着されている

 ZZR1400所有時の転倒修理の際に割れたテールライトを分解してみたことがあります。
 その際には溶着箇所を剥がそうとしてレンズを割ってしまいました・・・

 なので今回は溶着箇所は避けて切断して殻割りすることにします。

 殻割りする場所を見定め、まじまじと観察していくと・・・

  上側部分のレンズが被ってる

  テールカウルのステー部分をどうする?

 このあたりが問題になりそうです。
 まずは簡単そうな箇所から切断を初めていきます。

  淵をPカッターで溝堀り

 殻割りをする業者さんは超音波カッターを使うそうですが、
 日常的に使わない工具に10万円近くは出せないので・・・

 Pカッターで溝を掘った後、カッターナイフでぐりぐりとレンズを傷つけないように切断していきました。

  迷走した箇所もある・・・(汗)

 こんな感じでテールカウル取り付けのステーがある面以外は全てカットしました。

 残るは・・・

  これ・・・どうしようか・・・

 当初、ステー部分をそのまま残して殻割りしようと思っていたのですが、
 Pカッターが入らないし、テールレンズとの溶着面をひっかいてしまいそうだったので・・・

  ステーを切り取って外した

 後で接着すれば元に戻ると考えて切断。

 さらに・・・

  オルファのホビーのこを投入

 差し込み過ぎてレンズをひっかかないようにガムテープを巻いて使用。
 先にある程度Pカッターで筋を掘っておくとうまく切ることができました。
 特にPカッターが入らない曲面を切断するのが便利でした。

  引っ掻く感じで使用

 ある程度溝が掘れたらカッターナイフで切断・・・という感じで無事に殻割り成功です。
 #仕事が終わった後に数時間程度の内職状態でちょこちょこやっていたので1週間くらいかかりました

  レンズと分解

 LEDが実装されているボード、その下に回路基板が入っています。

  タッピングビス4本を外す

  裏面の白、黒配線を外します

 これでLEDが実装されているボードが外れます。

  分解したところ

 回路基板はハウジングにタッピングビス2本、背面のコネクタ部の端子にある爪で固定されています。
 端子部分の爪を精密ドライバ等で潰すとハウジングから分離することができました。

  回路基板の裏面

  同、表面

 2層基板で、部品は表面に実装されています。

  動作確認中・・・

 確認してみたところ、不点灯となっているLEDの端子に単三電池2本を直結しても点灯しませんでした。
 つまり今回の不点灯はLED素子そのものが壊れたということですね。

 さらに解析していきます。

  不思議な回路構成だなぁ・・・

 単三電池x2本を使ってLED基板のみで点灯確認をしたところ、
 点灯する箇所が4個単位で別れていました。

 目視だけだと混乱するので回路解析をしてみました。

 LED実装に合わせた回路図(クリックすると別窓で開きます)

 LEDを4つ並列接続にしたものを3つ直列に接続しているんですね。
 何故このようなつくりなのか考えてみたのですが、

 ・並列に繋いだ4つのLEDが全て故障する可能性は低い
 ・今回のように一部故障しても全て不点灯となることは避けたい
 ・バッテリー電圧からLED1つ単位の点灯電圧まで落とすようにすると
  抵抗値を大きくする必要があり発熱を考慮する必要が出てくる

 といったところなのかな?

 基盤側の回路も解析してみました。

 制御基板回路図(クリックすると別窓で開きます)

 LED基板回路図(クリックすると別窓で開きます)

 ブレーキランプの点灯時は12V
 #実際には11〜14.5Vくらいの間になりますが
 直結となることでトランジスタ回路がONになり
 7.5x6=45Ωと9.1x8=72.8Ωの抵抗が並列で45x72.8/(45+72.8)= 27.8Ωの抵抗で点灯します。

 LEDにかかる電流は
 13.5V / 27.8Ω = 485.6mA
 消費電力は13.5V x 13.5V /27.8Ω = 6.56W

 定格消費電力表示は4.9Wとありますのでこんな感じなのかな?
 
 テールライト点灯時はトランジスタ回路がOFFになり
 72.8+270=342.8Ωの抵抗で点灯させているようです。

 LEDにかかる電流は
 13.5V / 342.8Ω = 39.38mA
 消費電力は13.5V x 13.5V / 342.8Ω = 0.53W

 テールライトの定格消費電力は0.5Wとありますのでほぼ一致しています。

 単なる抵抗だけでいいのではないかな???
 もしくはトランジスタを使うくらいならば簡単なPWM制御にして明暗調整すればいいのに・・・
 とは思うのですが電磁ノイズ対策や
 エンジン回転による電圧変化に対応して安定的に点灯をさせたいためにこうなっているようです。

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