PENTAX Mレンズの分解・清掃
PENTAXのクラシックレンズ・M28mm/F3.5単焦点レンズを
分解清掃してみました

購入したPENTAX製のエントリーモデルの一眼レフK-mはオールドレンズにも問題なく対応しています。

マニュアルフォーカスだったり、測光が半手動だったりと制約はありますが
多数のレンズが市場に出たのもあり、一般的な焦点距離のレンズが中古で比較的安価で出回っています。

また、今のレンズにはないどこかアナログ風な暖かみのある写り方が気になっていました。

webを見てみると、この時代のレンズは作りが単純なのもあり結構分解・清掃している人がいます。

多少の工具は必要ですが、このくらいなら自分でも出来そうだと判断して
ジャンクレンズを購入して挑戦してみました。

お断り:以下、素人判断の分解、整備方法ですので間違いやタブー等も多々あると思います。
     真似される場合は自己責任の下実施願います。
     万一損傷しても当方としては責任を取れません。

・犠牲となる第一号のレンズです(^^;
  PENTAX SMC M28mm F3.5です。
 前玉にヘアライン程度の傷有りとのことで出品されていたレンズを3000円で落札しました。
 届いた実物を見ると、確かに傷はありますが細いヘアライン状の傷とリング周りに若干の傷がある程度で
 美品と言っても良いくらいの程度でした。

・余所のwebの分解記事を見て100円ショップで購入したゴム足で分解します
  100円ショップで売ってる36パイの家具足キャップを使用

 このゴム足を使い、前面部分のPENTAX SMC・・・と書いてある円形の飾りリングを取ります。
 コツとしては、押さえて ”クッ、クッ、クッ” と言う感じで一気に回すようなイメージでしょうか?

  こんな風にゴム足を突っ込んで回します

 これらはすべて一般的な正ネジと同じようにねじ込まれているだけです。
 傷を付けずに回す手段があれば簡単に分解できます。


・飾りリングを取ったら同じようにして中のレンズを回して取り出します
 webで調べた時には外側のフランジをマイナスビスで外せ・・・
 と書いてありましたが、
 このレンズの場合にはレンズユニットはそのまま外せますので今回はレンズユニットをゴム足で回して取りました。

 ゴム足を使わずに専用のカニ目レンチというのを使っても外すことが出来ます。

  こんな感じでレンズユニットとボディが分解出来ます

・さらにレンズを分解していきます
 潰したり、傷つけたりしないように充分注意してゴム足を使って前玉を止めているリングを外します。
 力がかけにくいので私は布を巻いてバイスクリップでレンズボディを固定して回しました。

  こんなふうにして回しますので力がかけにくい・・・

  ここまで分解できました

 ラッパ形状のボディに装着されているレンズですが、ノギスを使って回すことが出来ました。

 

 

  ここまでは分解できました。

 ここから先はカニ目レンチがないと外せない感じ・・・
 外さないと触れない面はそんなに汚れているわけでもなかったので今回はここまでの分解としました。

・レンズを清掃、磨きます
 事前に調べたところではエタノール等を使って清掃しているようですが、
 私は昔のオーディオ用のヘッドクリーナー(無水アルコールです)
 を綿棒に湿らせて表面を拭き、車のワックスがけなどで最近よく使われている
 マイクロファイバークロスで拭き上げました。

 このマイクロファイバークロスですが、ケバがほとんどでないし、
 傷も付かずに油分も綺麗に拭き取れますのでなかなか良いのでは?と思います。

・絞り前側のレンズユニットを組み上げていきます
 レンズの表になる面は後でも拭き上げることが可能ですから手が触れても気にしないでどんどん組み上げていきます。
 組み立てる時には後々ホコリを飛ばすことが出来ない箇所等を重点的に注意しながら組み上げていきます。
 次に後玉を清掃します。

絞りリングにグリスアップをしない場合には以下の分解は不要です。
・絞りの後ろ側のレンズを清掃します
 本体を裏返してマウント部分のネジを外します

  裏返してマウント部分のプラスビス5本を外します
 No.0のプラスドライバで外せます

  外せました(^^)

 外すと中の絞りを動かすリングが外れやすいので注意します。
 ま、ここは外れても後で元に戻せますけど・・・

・ゴム板等を使って後玉を止めている丸い板を回して外します

・外した後玉を同じように清掃します
 こちらもアルコールで拭き取った後、マイクロファイバークロスで拭き上げました。

絞りまわりのメンテナンスをしない時には、
後ろのマウントを外さずに絞りを解放状態にして本体に付属したままで
レンズ清掃をすると良いと思います。


・クリックボールのグリスを塗り直します
 絞りを開放端、もしくは絞り端どちらかに固定したことを確認してからリングをマウント側に引くと外れます。
 小さいボールがありますのでなくさないように注意!

・古いグリスを車、バイクで使うパーツクリーナーを吹き付けたウェスで拭き取り、新しくグリスを塗ります。
 自分は車、バイクで使っているシリコングリスをボールの穴、ボールが接触するであろうリング部分に薄く塗りました。

・リングを元通りに戻します
 中の絞り調整リングをはめ直す時には外側の絞りリングと爪を合わせてからこの部品を
 ピンセットで内側に入れて装着します
 このピンの付いている部品が絞り羽を動かしています

 内側のリングが外れないように注意しながら絞りリングを操作してちゃんと絞り羽根が動くことを確認しましょう。
 また、もしも絞り羽根を清掃したい場合には絞った状態にして綿棒などでごく軽い力で拭き上げます。

・裏側のマウントを元に戻します
 ネジは必ず対角線上のネジを少しずつ均等に締めます。
 またプラスチックにねじ山が立っていますので無理に回さないように注意します。

・レンズ本体を裏返しにして前玉をねじ込んでいきます
 外側のレンズ表面はまだ後で清掃できますから大丈夫ですが、
 絞り羽根の面は清掃できないので最新の注意を払って組み上げます。
 ねじ込む時にもゴム足を使いますが、馬鹿力で締めなくても大丈夫です。
 ちょっと力を入れて回らない程度まで締めましょう。

・最後に飾りリングをねじ込み、前後のレンズ表面を清掃して完成です
 
 綺麗になりました♪

飾りリングの傷等はマジックで黒く塗ってボロ隠しをしておきました。

 K-mに装着したところです
一眼レフですが、ボディが小さいので高倍率ズームレンズ装着のコンデジと大差ない大きさになります。

今回清掃したレンズで撮影した画像です。

すべて撮影時はAWB/MモードでRAW+jpegで撮影。
PCで見てみると出来たjpeg画像が青っぽかったので
PENTAX Photo LaboratoryにてRAW画像を太陽光にて修正、jpegに変換後
Free Soft ViewerのIrfanviewでリサイズ、シャープフィルタをかけてあります。


PENTAX K-m+SMC M 28mm/F3.5  F=8 1/250sec ISO100

 同 F=3.5  1/2000sec ISO100

桃の花を近接撮影してボケ具合のチェックです。


同 F=3.5 1/2000sec ISO100


同 F=8 1/1250sec ISO100


同 F=22 1/160sec ISO100

近寄ると綺麗にボケますが、こういう使い方しちゃうと
F=3.5にするとちょっとボケが急に立ち上がる感じもしなくはない・・・
一応、F8で3m位の焦点距離がパンフォーカスだと表示がしてありました。
(いわゆる”写るんです”っぽく使えるエリアらしい・・・)

この写り方を見ている限り、前玉の傷は影響ないみたいですね。
わずか数千円で入手できたレンズでこれだけ写ればOKじゃないでしょうか?(^^)


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